立憲民主党 枝野幸男代表 演説全文(3月21日新宿)
<怒りの共有>
立憲民主党代表の枝野幸男です。本当に冷たい雨の中をたくさんの皆さんにお集まりをいただきました。お礼を申し上げるべきかもしれませんが、お礼を申し上げる以上に、まず皆さんに申し上げたいのは、こんな冷たい雨の中も、こうして声をあげざるを得ない、そんな思いで、集まってこられた皆さんと、私も、私たちも、その怒りを共有する。そのことをまずは皆さんに申し上げたいと思っています。
<さすがに文書は正しいものだろう>
総選挙の時に、「まっとうな政治。」とポスターに掲げました。今の状況がまっとうだと思わないから、「まっとうな政治。」と掲げました。しかし、その時には、こんなにひどいとは思っていませんでした。
国家権力のど真ん中で、明らかに意図的な文書の改ざんが行われた。改ざんに基づいて、およそ1年、国会に対して、国民の皆さんに対して、いい加減な、でっちあげの説明が繰り返されていた。
役所の文書の改ざん。過去になかったわけではありません。行政の現場現場で起きた不祥事を、当事者や、当事者の部局が隠すために文書の改ざんがなされた。そうしたことは残念ながら、過去にもありました。それでも許されることではありません。しかし今回は、国民的に大きな注目を浴びている政治的な、最大ともいえるような争点に関して、国民をごまかすために文書が改ざんされていた。こんなことはあって、許されていいはずがありません。
さすがに文書は正しいものだろう。その前提で、国会で私たちは皆さんの負託を受けて、審議をしてきました。国会での答弁では、いろんないい加減なことが発言されてきたこともある。だから、裏付けになる文書を出せ。そして文書を見つけ出し、それに基づいて真実を明らかにしていく。そういう審議をしてきたつもりです。ところが、その文書そのものが改ざんされていたのでは、まともな議論ができるはずがないじゃありませんか。真実が明らかになるはずがないじゃないですか。
<政権ぐるみ>
佐川さんの一人でやったことのはずがありません。佐川さんは、文書を改ざんしても、ばれたらとんでもないことになるというリスクを背負うだけで、何の得にもならない。なのになんで佐川さんが改ざんするんですか。
そもそも皆さん考えてみてください。佐川さんの答弁に合わせて文書を改ざんした。そんなこと、あると思いますか。国会で、大臣や役所の幹部が答弁するという、そのためには、きちっとした準備がなされます。ましてこの森友問題は最初から、総理大臣にかかわる重要案件です。同じようなことが理財局長にも、財務大臣にも、総理大臣にも、官房長官にも聞かれます。みんながてんでばらばらに答弁するはずないじゃないですか。役所の現場の担当者が、過去の記録に基づいて、事実関係がどうなっているのか整理して、原案を作って上に上げて、それに基づいて答弁しなければ、答弁できるはずがないじゃないですか。佐川さんが勝手に一人で、「文書は捨てました。」佐川さんが勝手に、「森友とは価格交渉していません。」そんなこと言えるはずがないじゃないですか。まさに政権ぐるみで、そういう答弁内容を作り、それに合わせて文書を改ざんしたんです。財務省の問題ではありません。政権全体の問題です。
<中学生には失礼だけど>
なぜそんなことをしなければいけなかったのか。役所の文書というのは、必要なことがしっかりと書かれて、余計なことは書かれません。それは籠池さんとの様々な交渉が、私も福山幹事長も去年証人喚問で、それぞれ衆参で質疑に立たせていただきましたが、ああいう口八丁の人ですから、いろんなやり取りがあったと思います。全部書いてあるはずがありません。必要なことだけ記録に残していたんです。
なぜ記録に残すのか。役所は普通2年くらいで担当者が変わります。担当者が変わっても、新しい担当者が、この問題はどういう案件だったのか、分かるように必要なことを書くのが公文書です。そこになぜ、安倍昭恵さんの名前が書いてあったのか。中学生には失礼だけど、中学生でも分かるんじゃないですか皆さん。
<公文書を信頼して社会が成り立っている>
安倍総理は、この期に及んでも、改ざん前の文書にも、忖度したとか圧力があったとか書いてないじゃないかと。当たり前でしょう皆さん。公文書で公開されることが前提なんですよ。忖度しましたなんて書く馬鹿いませんよ。圧力があったなんて書く馬鹿いませんよ。それが書けない代わりに何が書いてあったか。それが問われているんじゃないですか皆さん。まさに、政権ぐるみで、政権を守るために、国民の共有財産である公文書を改ざんし、国会ででたらめなことを言って、1年にわたって国民を騙してきた。こんな政治を許して、皆さんいいんでしょうか。
公文書の改ざんというのは、本当に深刻な問題です。皆さん役所から納税の通知書がきたりしませんか。高齢者の皆さん、あなたの年金はいくらですという通知が来ませんか。みんな来たら、本当に正しいのかなあと、自分で計算します?役所が、役所として正式に出してきた文書なんだから、それは正しんだろうという前提で、税金を納めたりしていませんか。そういうことで私たちの社会は成り立っているんじゃありませんか。
それを政権中枢ど真ん中が勝手に改ざんをしてきた。こんなことを放置をしてしまったら、民主主義どころじゃない。私たちの社会が成り立たないんじゃないですか皆さん。社会の信頼をぶち壊してしまっている、そういう案件なんだということを、私は大変な危機感を持って痛感をしています。
誰が責任者なのか。誰が責任を取るのか。あえて言います。そんなちっぽけな話で終わらせてはいけないと、私は思います。なぜこんなことが起こったのか。この経緯はどういう経緯だったのか。その全てを明らかにする。そのことなしに公文書を、役所から来る文書を、私たちは信頼できない。とんでもない社会で過ごしていかなければならないことになってしまうんじゃないでしょうか。
<国民のために話してほしい>
まずは佐川さんに国会に来て、証人喚問で証言をしていただきます。こんなものは入口の入口でしかありません。文書の偽造で罪に問われるかもしれない。証言拒絶権を佐川さんは持っています。ですから、洗いざらい話してくれるかどうかは分かりません。でも皆さん、佐川さんに期待しましょうよ、国民の皆さんが。佐川さんも間違いなく、今を去ること40年くらい前は、この国の未来のために大蔵省に入省したんじゃないでしょうか。その初心を今こそ取り戻して国民のために証言をしてくれ。そういう声を国民の皆さん、あげようじゃありませんか。
<安倍昭恵氏はなぜ来ない>
少なくとも財務省の職員の方が一人、命をなくされ、空前の文書偽造問題にまで発展をした。この問題のキーマンが安倍昭恵さんであることは、誰がどうみても間違いありません。後ろめたいことがないならば、さっさと国会に出して、証言してもらえばいいじゃないですか。1年前に、安倍昭恵さん国会に来て証言をしてもらって、本当に安倍総理の言うとおりであるならば、この問題は決着していました。文書なんて改ざんする必要がありませんでした。
民間人だから呼べない。馬鹿なこと言ってもらっちゃ困ります。この間の証人喚問は誰でしたか。籠池さんでしょう。籠池さんは公務員なんですか。一民間人じゃないですか。しかもあの籠池さんの証人喚問、野党は参考人としてまずお話を聴きましょうよということを提案をしていたんです。野党が参考人として話を聴きたいと提案していたら、ある日突然自民党は、証人喚問だといって、民間人を証人として呼び出したんです。
安倍昭恵さんは総理大臣夫人です。谷査恵子さんをはじめとして、あなたの納めた税金で、安倍昭恵さんのお世話をする人が付けられていたんです。純粋民間人じゃないでしょう。当然これだけの政治不信と行政不信を払拭するためには、後ろめたいことがないならば、自ら率先して国会に来て喋るのが当たり前じゃないですか。
谷査恵子さん、あるいは迫田元理財局長。本当にこの全体像を明らかにして、なぜこんな改ざんが行われたのか。それをしっかりと明らかにして、そして、二度とこんなことを起こさせない仕組みをしっかりと作る。それが今国会に議席を頂いている私たちの責任であるというふうに思っています。
<日本の未来にはあなたの力が必要です>
一強多弱と言われ続けてきました。今でも国会では、あらゆること多数決を取られたら勝てません。しかしながら、一強多弱であったとしても、国民の皆さんと共に一個一個の事実を地道に積み重ねる審議を重ねていけば、裁量労働制の拡大だって撤回させることができたじゃないか。朝日新聞をはじめメディアの頑張りもあったけれども、佐川さんの証人喚問まで持ってくることができたじゃないか。
国会では少数だけれども、私たちの後ろには多くの国民の皆さんがついている。私たちは、そのことを信じて、一つ一つやれることを地道に、着実に、自信を持って、前に進めていきます。
日本の、あえていえば明治維新に始まる近代社会の根幹が、本当に崩れていくのかどうかという瀬戸際だというふうに思っています。何としてもここで食い止めて、まっとうな社会を取り戻すために、まっとうな政治を創っていきたいと思いますが、皆さんどうか力を貸していただけますか。
本当にたくさんの皆さんにこんな寒い中で激励を頂いて、感激であると同時に、責任の重さを痛感します。しっかりと力を合わせて真相を明らかにし、こんなことを起こさせないために、責任がある人にはしっかりと責任を取らせる。まっとうな政治を取り戻すために、私たちも全力で頑張ります。
最後に、私にではありません。日本の未来にはあなたの力が必要です。どうぞ一緒に戦いましょう。どうぞ一緒に戦ってください。私たちもひるまずに頑張ってまいります。共に頑張りましょう。共に頑張りましょう。共に頑張りましょう。ありがとうございます。ありがとうございます。
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