立憲民主党 枝野幸男代表 代表質問及び安倍晋三首相答弁(11月20日衆議院本会議)
まず、代表質問のうち枝野代表が明示的に問うている部分と、それに対する安倍首相の答弁を一問一答形式に並べ替えたものを掲載しております。
その後、安倍首相の答弁を通しで再掲しております。
なお、枝野代表の質問の全文については、
立憲民主党公式サイト内
に掲載されております。
【保育・介護等の賃金引き上げ】
(枝野代表)
待機児童問題が解消されないままに無償化を進めれば、保育所に入れない人が、無償化の恩恵も受けられないという、二重の不利益を被ることになります。
待機児童問題の解決こそが先行すべきであり、そのためにも、保育士の賃金引き上げを急ぐべきです。
所信表明では、「2020年までに32万人分の受け皿整備」を進めるとしています。
しかし、これで本当に、待機児童問題が解消するとは思えません。また、具体的に、どのような手段で、受け皿整備を進めるのでしょうか。総理の見解をお尋ねします。
(安倍首相)
待機児童問題については、本年6月に策定した「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに32万人分の保育の受け皿整備を進め、待機児童を解消することとしています。本プランを踏まえ、保育の受け皿整備のための予算をしっかり確保してまいります。また、幼稚園や学校の空き教室の活用、地方自治体における具体的な取り組みや、情報の住民の方々への積極的な提供など、地方自治体の取り組みをきめ細かく支援してまいります。
【幼児教育の無償化】
(枝野代表)
幼児教育の無償化は、社会全体で子どもの育ちを支援するという観点から、私たちも賛成です。
大切なのは、すべての子どもが等しく対象であるということです。親の年収や施設の種類で、限定や差異を付けるべきではありません。
所信表明でおっしゃった「全ての子どもたち」というのは、限定や差異なく無償化するとしか受け取れませんが、総理に確認します。
(安倍首相)
幼児教育の無償化については、先般の総選挙でもお約束したとおり、「2020年度までに3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼稚園、保育園の費用を無償化する。0歳から2歳児についても、所得の低い世帯に対して、無償化する。」との方針の下で、現在、具体的な検討を進めているものであります。
【高等教育の無償化】
(枝野代表)
高等教育の無償化に関して、いわゆる出世払い方式の奨学金を導入しようとしているとの報道があります。しかし、出世払いにしても、借金であることには変わりありません。大学の授業料や入学金は、大幅に上昇しており、借入れを要する奨学金の額そのものが大きくなっています。無償化の対象を、恣意的に選別するとの動きも伝えられています。
本当に、恣意的な選別なく、真の無償化が進むのか。その具体策について、総理にお尋ねします。
(安倍首相)
どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる日本にしてまいります。真に必要な子どもたちには、高等教育を無償化します。そのために、授業料の減免措置の拡充と、給付型奨学金の支給額の大幅増加を検討しています。
【労働法制】
(枝野代表)
正社員として働ける方向へ、民主党政権は、労働契約法を改正しました。期間従業員などが、同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、無期雇用に転換できるという「5年ルール」の導入です。
ところが、この適用を受けないよう、社内ルールを変更した、大手企業の存在が明らかになりました。
制度の趣旨を骨抜きにするようなルール変更に対して、政府は厳しく指導すべきと考えますが、総理の見解をお尋ねします。
(安倍首相)
まず、無期転換ルールを避ける目的で雇止めをすることは、法の趣旨に照らして、望ましいものではないということを申し上げます。このため、無期転換ルールの適切な適用のため、都道府県労働局に特別相談窓口を設置するなど、企業への周知や、啓蒙指導にしっかりと取り組んでまいります。ご指摘の企業における事例については、現在、厚生労働大臣において実態を調査中であり、調査結果を踏まえて必要な対応を取ってまいります。
【一括交付金】
(枝野代表)
社会の下支えと底上げには、地方の活力を取り戻すことが不可欠です。
それぞれの持ち味を生かし、地方の活力を引き出す上で、地方の自由度がより高い、一括交付金を復活させるべきだと考えます。総理の見解を求めます。
(安倍首相)
民主党政権時代の地域自主戦略交付金については、手続の煩雑さや様々な問題点が指摘されていたことから、平成25年度に廃止し、地方からの意見を踏まえ、より大きな政策目的にまとめて真に必要な需要に充てることができる自由度の高いものと致しました。今後も地方の意見を踏まえた不断の検討を行い、真に地方にとって効果が高く、使い勝手のよい施策の仕組みづくりを推進してまいります。
【農業政策】
(枝野代表)
地方の活性化には、農業政策が重要です。
政府は、「コメに対する所得補償交付金」を、平成30年から廃止すると決めました。稲作農家からは、不安の声が上がっています。
私たちは、地域社会と食糧安全保障、そして、水や緑を守っている農業の多面的機能を重視し、農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化を目指します。
この制度に対する総理の見解を求めます。
(安倍首相)
旧所得補償制度については、すべての販売農家を対象に交付金を支払うものであったことから、担い手への農地の集積ペースを遅らせる面があったと考えています。さらに、十分な国境措置があるコメについて交付金を交付することは、他の農産物の生産者や、他産業、納税者の理解が得難いなどの課題がありました。このため、安倍内閣においては、旧戸別所得補償制度については、平成29年(聴取困難)までの時限措置とした上で、その間、強い農業の実現に向け、農地集積バンクによる農地集積や、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興による農地のフル活用を図るなど、前向きな政策を強化してまいりました。引き続き、農業を成長産業とし、農家の所得を向上させるための施策を力強く推進してまいります。
【夫婦別姓】
(枝野代表)
夫婦別姓を選択できるよう、法改正を急ぐべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
(安倍首相)
夫婦の別姓の問題は、家族の在り方と深くかかわるものであり、国民の間に様々な意見があることから、慎重な対応が必要と考えております。
【LGBT】
(枝野代表)
民間の調査によれば、日本におけるLGBT当事者は、13人に1人。
こうした皆さんの人生を守り、すべての人が、その性的指向や性自認によって、差別されることのない社会を作るため、私たちは、LGBT差別解消法の制定を目指します。
この問題は、政治家一人ひとりに対し、「あなたは、本当に、多様性の力を信じる立場にいるのか」という問いを突き付けます。総理の見解を求めます。
(安倍首相)
性的指向や性自認については、その正しい理解を促進し、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進めてまいります。
【障がいを持った人の生活】
(枝野代表)
障がいを持った人も、安心して暮らすことができ、共に生きる社会に向けた象徴的な案件として、「手話言語法」の制定を急ぐべきだと考えますが、総理の認識をお聞かせください。
(安倍首相)
共生社会を目指す上で、障がい者の自立と社会参加の支援が重要であることはいうまでもありません。今後とも、障がい者施策の充実に取り組んでまいります。なお、御党のご提案については、国会においてご議論いただければと思います。
【金融政策】
日本銀行が掲げたインフレ目標は、5年近くが経っても、未だに達成できていません。輸出数量も、当初の見込みとは異なり、増えていません。
「ゼロ金利のもとでは、マネタリーベースを増やしても、物価は上昇しない。」このことが明らかになっていると考えますが、総理の見解を伺います。
(安倍首相)
政権交代後、大胆な金融政策を含む3本の矢の政策により、もはやデフレではないという状況を作り出すことができました。また、そうした中で、行き過ぎた円高も是正されました。さらに、日本銀行による大胆な金融緩和は、デフレマインドの払拭につながっているものと考えています。こうした中、仕事や投資は国内に戻り始め、中小企業の倒産は3割減少し、輸出数量も2016年後半から、海外経済が緩やかに回復する中で持ち直しを続け、企業収益は過去最高水準となっています。国民生活にとって最も大切な雇用についても大きく改善しています。就業者数は185万人増加し、有効求人倍率は、史上初めて47すべての都道府県で1倍を超え、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来初めて1倍を超えています。
いわゆるゼロ金利の状態における金融緩和と物価の関係性についてのご指摘がありましたが、金融政策の具体的な指標は日本銀行に委ねられるべきであると考えております。物価が2%程度に達する時期について、日本銀行の展望レポートでは、2019年頃になる可能性が高いとされており、今後とも日本銀行が物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しています。引き続き政府・日本銀行は、緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
【カジノ解禁】
(枝野代表)
政府は、カジノを成長戦略と位置付けているようですが、本気でしょうか。
カジノの解禁は、ギャンブル依存症を拡大させます。依存症は、当事者や家族にとってだけでなく、膨大な社会的コストを生じさせ、経済にもマイナスです。総理の見解を伺います。
やるべきことは、ギャンブル依存症を防止し、依存症からの脱却を支援することです。私たちは「ギャンブル依存症対策基本法案」を準備しています。
これについての総理の見解もお尋ねします。
(安倍首相)
ギャンブルによる依存症等についてのお尋ねがありました。政府では、ギャンブル等依存症が当事者や家族の問題のみならず、社会問題を生じさせていることに鑑み、本年8月にギャンブル等依存症対策の強化策を取りまとめたところであります。未成年者等のアクセス制限、射幸性の抑制、医療面の対応、(聴取困難)等の対策を政府一体となってしっかりと実施してまいりたいと思います。なお、ご提案については、国会においてご議論いただければと思います。
【安全保障】
(枝野代表)
立憲民主党は、専守防衛に徹する自衛隊や、個別的自衛権の行使について、合憲であるとの立場です。
領域警備法の制定と、憲法の枠内での周辺事態法強化によって、主権を守り、専守防衛を軸とする、現実的な安全保障政策を推進すべきと考えます。総理の見解を伺います。
(安倍首相)
政府の最も重要な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜き、我が国の領土、領海、領空を守り抜くことであります。その責務を果たすため、厳しい安全保障の現実に真正面から向き合い、憲法の範囲内であらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする平和安全法制を整備しました。政府としては、ベストなものと考えています。同時に、いわゆるグレーゾーン事態への対応については、海上警備行動等の発令手続の迅速化や、関係機関の連携の強化などの必要な取り組みを一層強化しているところであり、現時点では、領域警備法といった新たな法整備が必要とは考えていません。また、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、約20年前に制定された周辺事態法を改正し、平和安全法制の一環として内容の充実、強化を図った重要影響事態法を既に整備しています。専守防衛は、我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持していくことは当然であります。安全保障政策は現実への対応です。政府としては、今後も厳しい安全保障環境を直視し、困難な課題に真正面から取り組んでまいります。
【外交】
(枝野代表)
日米安全保障条約は、日本と東アジアの、平和と安定に不可欠であり、日米同盟は、健全に強化、発展させるべきです。
もっとも、健全な同盟関係であるならば、言うべきことをしっかりと伝えることが重要です。
過日の首脳会談において、パリ協定の離脱について、トランプ大統領から、何らかの説明はあったのでしょうか。また、総理の側から、離脱を思いとどまるよう説得はしたのでしょうか。お尋ねします。
(安倍首相)
先般のトランプ大統領訪日では、パリ協定についてのやり取りはありませんでした。他方、5月のG7タオルミーナサミットでは、米国がパリ協定にとどまるよう、他のG7首脳と共に働き掛けを行いました。米国は、イノベーションを通じた先進的な環境技術の導入等を行っており、引き続き米国に対し、気候変動問題への取り組みの必要性を働き掛け、共に協力していく方法を探求してきたいと考えています。
【海空連絡メカニズムと日中資源共同開発】
(枝野代表)
日中での防衛当局間による、海空連絡メカニズムの進捗状況について、総理の説明を求めます。
また、東シナ海での、日中資源共同開発に関する合意の履行状況と、その見通しについてもお尋ねします。
(安倍首相)
ベトナムのAPEC首脳会議の際に行った習近平主席との日中首脳会談で、東シナ海における防衛当局間の海空連絡メカニズムを早期に運用開始するため、協議を加速化していくことで一致しました。東シナ海の資源開発についても、2008年合意を堅持し、同合意の実施の具体的進展を得るよう、引き続き共に努力していくことで一致いたしました。これを踏まえ、引き続き海空連絡メカニズムの早期運用開始及び東シナ海資源開発に関する2008年合意の早期実施に向け、精力的に働き掛けを行ってまいります。
【北朝鮮問題】
(枝野代表)
北朝鮮の拉致問題、核・ミサイル開発については、引き続き、毅然とした対応を求めます。
その上で、現在韓国には、短期滞在者を含めて、6万人近い日本人がいます。万一の事態となった場合、これら邦人の避難と保護は、日本政府に課せられた重大な責務です。
韓国や米国との間で、どれだけの協議がなされているのでしょうか。日本政府として、どの程度の検討がなされているのでしょうか。すべてを明らかにはできないと承知していますが、できる範囲での説明を求めます。
(安倍首相)
政府としては、様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行ってきています。韓国とは、在韓邦人の安全確保について平素から緊密に連携しており、米国とは、日米防衛協力のための指針も踏まえ、協力を進めてきていますが、具体的な内容は、事柄の性質上、及び相手国との関係もあり、差し控えさせていただきたいと思います。
【公文書管理法と情報公開法】
(枝野代表)
立憲民主党は、公務員個人が作成・管理する文書も対象に加えるなど、公文書管理法改正案と、開示情報の拡大など、情報公開法改正案を、すみやかに国会に提出します。
公文書管理法と情報公開法に関する、総理の見解をお尋ねします。
(安倍首相)
公文書管理法及び情報公開法の在り方についてお尋ねがありました。公文書管理については、まずは現行法の中において、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保等を内容とするガイドラインの改正を年内に行うこととしており、その後も公文書管理の質を高めるための不断の取り組みを進めてまいります。こうした取り組みは、国民に対する行政の説明責任を果たしていく上でも重要であり、公文書管理の質を高めるこれらの取り組みを通じて、情報公開の一層の充実に努めてまいります。
【質問時間の配分】
(枝野代表)
国会では、与野党での質問時間の配分について、自民党から、身勝手な主張がなされています。かつての野党時代の主張と、完全に矛盾する上に、議院内閣制と国会の役割についての、無理解に基づくとしか、思えないものです。
与党の質問時間割合を拡大しようという提案は、政府与党一体の事前審査プロセスなどが、機能不全の状態にあるからだと、受け止めざるを得ません。今の自民党は、国会提出前の事前審査プロセスなどで、野党議員と同じ程度にしか関与できていない、影響力を行使できていない、ということなのでしょうか。
政府側から見た総理の認識をお尋ねします。
(安倍首相)
国会における質問時間についてのお尋ねがありました。与党においては、政調各部会において日々熱のこもった政策論議が活発に行われております。なお、御党をはじめ、野党各党の政調の活動状況については寡聞にして存じ上げませんが、各種の調査チームが日々立ち上がり、各省庁が連日全力で対応させていただいているものと承知しております。一般論として、数万を超える得票を有権者の皆様から頂いて国会議員となった以上、与党、野党にかかわらず、こうした政党内部の活動だけでなく、国会の中において、国会議員としての責務を、責任を果たすべきであり、それが有権者の負託に応えることであるとの指摘もあります。いずれにせよ、質問時間の配分自体については、まさに国会で、国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私から答弁をすることは差し控えさせていただきます。
【心の復興】
(枝野代表)
復興に関連して、特に重要なのは、ソフト面での支援です。
ハード面での損害や、復興のプロセスは、目に見えます。しかし、家族やふるさと、地域でのつながりなどを失った心の傷は、目に見えません。
所信表明では、「心の復興」を支援する旨を述べられましたが、その具体策についてお尋ねします。
(安倍首相)
被災地の復興を進めていく上で、人と人とのつながりをつくり、被災者が生きがいを持って暮らしていただけるよう、心の復興を支援することは極めて重要であります。今までも政府は、被災地の自治体やNPO等と連携し、被災者に対して、災害公営住宅等への移転後のコミュニティ形成の支援、福祉関係者による見守り体制の強化、地域住民との交流の機会の創出を通じたつながりづくりなど、心の復興に力を入れてまいりました。これらの(聴取困難)を通じ、コミュニティの活性化、高齢者の孤立の解消、参加された方の居場所づくりなどの効果が出ていると考えております。今後もこれらの活動が更に地域に根付いていくよう、自治体との連携を進めながら、被災者の心の復興を力強く支援してまいります。
【原発ゼロ】
(枝野代表)
自民党は、「依存度を可能な限り低減させます。」とする一方、原発を、「ベースロード電源」と位置づけています。
ベースロード電源として活用すれば、依存度を低減させるといっても限界があります。
いったい、いつになったら原発稼働をやめるつもりなのか。それともやめるつもりがないのか。総理の明確な答弁を求めます。
(安倍首相)
徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する。これが安倍内閣の一貫した方針であります。同時に、資源に乏しい我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への影響、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは、責任あるエネルギー政策とはいえません。
【避難計画】
(枝野代表)
国の責任ある避難計画が策定されていない中での再稼働は、文字通り無責任です。
総理の認識を伺います。
(安倍首相)
避難計画は、地域住民の安全、安心の観点からその策定を着実に進めていくことが重要です。国としても前面に立って、避難先や避難手段の確保など、きめ細かく関与しながら、関係自治体と一体となって計画策定に取り組んでいます。今後とも自治体と共に避難計画を継続的に充実、強化してまいります。その上で、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の方針であります。
【原発ゼロ基本法案】
(枝野代表)
立憲民主党は、国が避難計画に責任を持つ、原子力災害特別措置法改正案と、一日も早い原発ゼロに向け、工程表を示した「原発ゼロ基本法案」を策定し、次期通常国会までに提出します。
原発ゼロは、今やリアリズム。具体的なプロセスこそが問われる段階です。
こうした法整備に、総理は賛同いただけますか。お答えください。
(安倍首相)
ご提案については、具体的な内容が現時点では全く分かりませんが、法案が提出された後、国会でご議論いただくべきものと考えております。
(安倍首相答弁全文)
枝野幸男議員にお答えを致します。
幼児教育の無償化や、待機児童問題についてのお尋ねがありました。幼児教育の無償化については、先般の総選挙でもお約束したとおり、「2020年度までに3歳から5歳までのすべての子どもたちの幼稚園、保育園の費用を無償化する。0歳から2歳児についても、所得の低い世帯に対して、無償化する。」との方針の下で、現在、具体的な検討を進めているものであります。
待機児童問題については、本年6月に策定した「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに32万人分の保育の受け皿整備を進め、待機児童を解消することとしています。本プランを踏まえ、保育の受け皿整備のための予算をしっかり確保してまいります。また、幼稚園や学校の空き教室の活用、地方自治体における具体的な取り組みや、情報の住民の方々への積極的な提供など、地方自治体の取り組みをきめ細かく支援してまいります。
高等教育の無償化についてお尋ねがありました。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる日本にしてまいります。真に必要な子どもたちには、高等教育を無償化します。そのために、授業料の減免措置の拡充と、給付型奨学金の支給額の大幅増加を検討しています。
無期転換ルールについてのお尋ねがありました。まず、無期転換ルールを避ける目的で雇止めをすることは、法の趣旨に照らして、望ましいものではないということを申し上げます。このため、無期転換ルールの適切な適用のため、都道府県労働局に特別相談窓口を設置するなど、企業への周知や、啓蒙指導にしっかりと取り組んでまいります。ご指摘の企業における事例については、現在、厚生労働大臣において実態を調査中であり、調査結果を踏まえて必要な対応を取ってまいります。
自由度の高い交付金についてお尋ねがありました。民主党政権時代の地域自主戦略交付金については、手続の煩雑さや様々な問題点が指摘されていたことから、平成25年度に廃止し、地方からの意見を踏まえ、より大きな政策目的にまとめて真に必要な需要に充てることができる自由度の高いものと致しました。今後も地方の意見を踏まえた不断の検討を行い、真に地方にとって効果が高く、使い勝手のよい施策の仕組みづくりを推進してまいります。
農業者戸別所得補償制度についてのお尋ねがありました。旧所得補償制度については、すべての販売農家を対象に交付金を支払うものであったことから、担い手への農地の集積ペースを遅らせる面があったと考えています。さらに、十分な国境措置がある米について交付金を交付することは、他の農産物の生産者や、他産業、納税者の理解が得難いなどの課題がありました。このため、安倍内閣においては、旧戸別所得補償制度については、平成29年(聴取困難)までの時限措置とした上で、その間、強い農業の実現に向け、農地集積バンクによる農地集積や、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興による農地のフル活用を図るなど、前向きな政策を強化してまいりました。引き続き、農業を成長産業とし、農家の所得を向上させるための施策を力強く推進してまいります。
社会の多様性についてお尋ねがありました。夫婦の別姓の問題は、家族の在り方と深くかかわるものであり、国民の間に様々な意見があることから、慎重な対応が必要と考えております。性的指向や性自認については、その正しい理解を促進し、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進めてまいります。共生社会を目指す上で、障がい者の自立と社会参加の支援が重要であることはいうまでもありません。今後とも、障がい者施策の充実に取り組んでまいります。なお、御党のご提案については、国会においてご議論いただければと思います。
日本銀行の金融政策についてお尋ねがありました。政権交代後、大胆な金融政策を含む3本の矢の政策により、もはやデフレではないという状況を作り出すことができました。また、そうした中で、行き過ぎた円高も是正されました。さらに、日本銀行による大胆な金融緩和は、デフレマインドの払拭につながっているものと考えています。こうした中、仕事や投資は国内に戻り始め、中小企業の倒産は3割減少し、輸出数量も2016年後半から、海外経済が緩やかに回復する中で持ち直しを続け、企業収益は過去最高水準となっています。国民生活にとって最も大切な雇用についても大きく改善しています。就業者数は185万人増加し、有効求人倍率は、史上初めて47すべての都道府県で1倍を超え、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来初めて1倍を超えています。
いわゆるゼロ金利の状態における金融緩和と物価の関係性についてのご指摘がありましたが、金融政策の具体的な指標は日本銀行に委ねられるべきであると考えております。物価が2%程度に達する時期について、日本銀行の展望レポートでは、2019年頃になる可能性が高いとされており、今後とも日本銀行が物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しています。引き続き政府・日本銀行は、緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。
ギャンブルによる依存症等についてのお尋ねがありました。政府では、ギャンブル等依存症が当事者や家族の問題のみならず、社会問題を生じさせていることに鑑み、本年8月にギャンブル等依存症対策の強化策を取りまとめたところであります。未成年者等のアクセス制限、射幸性の抑制、医療面の対応、(聴取困難)等の対策を政府一体となってしっかりと実施してまいりたいと思います。なお、ご提案については、国会においてご議論いただければと思います。
現実的な安全保障政策の推進についてお尋ねがありました。政府の最も重要な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜き、我が国の領土、領海、領空を守り抜くことであります。その責務を果たすため、厳しい安全保障の現実に真正面から向き合い、憲法の範囲内であらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする平和安全法制を整備しました。政府としては、ベストなものと考えています。同時に、いわゆるグレーゾーン事態への対応については、海上警備行動等の発令手続の迅速化や、関係機関の連携の強化などの必要な取り組みを一層強化しているところであり、現時点では、領域警備法といった新たな法整備が必要とは考えていません。また、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、約20年前に制定された周辺事態法を改正し、平和安全法制の一環として内容の充実、強化を図った重要影響事態法を既に整備しています。専守防衛は、我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持していくことは当然であります。安全保障政策は現実への対応です。政府としては、今後も厳しい安全保障環境を直視し、困難な課題に真正面から取り組んでまいります。
米国のパリ協定離脱に関してお尋ねがありました。先般のトランプ大統領訪日では、パリ協定についてのやり取りはありませんでした。他方、5月のG7タオルミーナサミットでは、米国がパリ協定にとどまるよう、他のG7首脳と共に働き掛けを行いました。米国は、イノベーションを通じた先進的な環境技術の導入等を行っており、引き続き米国に対し、気候変動問題への取り組みの必要性を働き掛け、共に協力していく方法を探求してきたいと考えています。
日中間の海空連絡メカニズム及び東シナ海資源開発に関するお尋ねがありました。ベトナムのAPEC首脳会議の際に行った習近平主席との日中首脳会談で、東シナ海における防衛当局間の海空連絡メカニズムを早期に運用開始するため、協議を加速化していくことで一致しました。東シナ海の資源開発についても、2008年合意を堅持し、同合意の実施の具体的進展を得るよう、引き続き共に努力していくことで一致いたしました。これを踏まえ、引き続き海空連絡メカニズムの早期運用開始及び東シナ海資源開発に関する2008年合意の早期実施に向け、精力的に働き掛けを行ってまいります。
挑戦半島からの邦人(聴取困難)保護に関する検討状況についてお尋ねがありました。政府としては、様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行ってきています。韓国とは、在韓法人の安全確保について平素から緊密に連携しており、米国とは、日米防衛協力のための指針も踏まえ、協力を進めてきていますが、具体的な内容は、事柄の性質上、及び相手国との関係もあり、差し控えさせていただきたいと思います。
公文書管理法及び情報公開法の在り方についてお尋ねがありました。公文書管理については、まずは現行法の中において、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保等を内容とするガイドラインの改正を年内に行うこととしており、その後も公文書管理の質を高めるための不断の取り組みを進めてまいります。こうした取り組みは、国民に対する行政の説明責任を果たしていく上でも重要であり、公文書管理の質を高めるこれらの取り組みを通じて、情報公開の一層の充実に努めてまいります。
国会における質問時間についてのお尋ねがありました。与党においては、政調各部会において日々熱のこもった政策論議が活発に行われております。なお、御党をはじめ、野党各党の成長の活動状況については寡聞にして存じ上げませんが、各種の調査チームが日々立ち上がり、各省庁が連日全力で対応させていただいているものと承知しております。一般論として、数万を超える得票を有権者の皆様から頂いて国会議員となった以上、与党、野党にかかわらず、こうした政党内部の活動だけでなく、国会の中において、国会議員としての責務を、責任を果たすべきであり、それが有権者の負託に応えることであるとの指摘もあります。いずれにせよ、質問時間の配分自体については、まさに国会で、国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私から答弁をすることは差し控えさせていただきます。
心の復興についてのお尋ねがありました。被災地の復興を進めていく上で、人と人とのつながりをつくり、被災者が生きがいを持って暮らしていただけるよう、心の復興を支援することは極めて重要であります。今までも政府は、被災地の自治体やNPO等と連携し、被災者に対して、災害公営住宅等への移転後のコミュニティ形成の支援、福祉関係者による見守り体制の強化、地域住民との交流の機会の創出を通じたつながりづくりなど、心の復興に力を入れてまいりました。これらの(聴取困難)を通じ、コミュニティの活性化、高齢者の孤立の解消、参加された方の居場所づくりなどの効果が出ていると考えております。今後もこれらの活動が更に地域に根付いていくよう、自治体との連携を進めながら、被災者の心の復興を力強く支援してまいります。
原発の利用や避難計画についてのお尋ねがありました。徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する。これが安倍内閣の一貫した方針であります。同時に、資源に乏しい我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への影響、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは、責任あるエネルギー政策とはいえません。避難計画は、地域住民の安全、安心の観点からその策定を着実に進めていくことが重要です。国としても前面に立って、避難先や避難手段の確保など、きめ細かく関与しながら、関係自治体と一体となって計画策定に取り組んでいます。今後とも自治体と共に避難計画を継続的に充実、強化してまいります。その上で、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の方針であります。なお、ご提案については、具体的な内容が現時点では全く分かりませんが、法案が提出された後、国会でご議論いただくべきものと考えております。
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