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 2012年4月27日発表(2016年現在最新版)の自民党憲法改正草案は、日本国憲法を全面的かつ本質的に変更するものであり、全ての政策に関わる極めて重要なものです。
 立憲主義、権利と義務、個人の尊重、公共の福祉といった自由な生活を支える概念が、大きく変容しています(総論参照。そのことへの賛否はおきます。)。
 個々の規定においても、国旗国歌尊重義務の新設(3条)、政教分離の緩和(20条)、表現規制の強化(21条)、家族助け合い義務の新設(24条)、一票の格差の容認(47条)、中央集権化(92条~)など、多くの変化があります。
 自民党が作成したQ&Aを併せて分析すれば、より多くの基本方針が明らかになります。

 そして,このような基本方針は,上記のとおり全ての政策に影響します。例えば,経済政策に関わる法律制定や閣議決定は,全て憲法22条,29条に適合するように行わなければなりません。憲法違反なら法律は無効です(98条)。そのため,憲法を変えれば経済政策も変わります。社会保障は25条,安全保障は9条,出版規制や発言規制は21条というように、各政策は憲法の条文の範囲内で行われるにすぎません。 そのため,個々の政策よりも理論的に重視されるべき争点となります。
 さらに,例えば基本的人権の一つである表現の自由(21条)がなくなれば,個々の政策について議論して民意を反映することが不可能になるため,人権条項が変わることは,一般論として他の政策よりも圧倒的に重要です。

 しかし、自民党憲法改正草案については、報道や宣伝の多くが遅く、不正確で、簡略的であるため、一般市民に内容があまり浸透していない上、誤解も多いです。憲法改正への賛否と自民党憲法改正草案への賛否が混同されてしまっていることや、憲法改正といえば9条というイメージが先行してしまっていることも多いです。
 また、現在の法律(平成19年5月成立の国民投票法)では、国民投票前は、大学教授等の教員や公務員による意見表明が規制されるため、今のうちに十分議論しておく必要があります(※1)
 さらに、現在の自民党の政策が何を目指して行われているのかを憲法草案から読み取ることもできます。
 そこで、できるだけ客観的(※2)で法的な分析を試みた当サイトを、いろいろな立場の方に是非ご覧いただきたいと思っています。上のメニューからご覧ください。

 以下に掲げるのが分析対象の公式資料です。
 自民党による憲法改正草案原文(pdf,801KB) ※当サイトの対照表部分はこれを横書きにしたものです。
 自民党による日本国憲法改正草案Q&A(pdf,4932KB)

 Q&Aに書いてある範囲を超えた解説もありますが、いったん改憲されればどんな政党が与党になってもその憲法に基づいて法律が作れるわけですから、必ずしも自民党の現在の解釈に縛られるべきではないと考えています。憲法が草案のような変わり方をすることによって、どんなことが将来法律の制定により行われ得るようになるのかを検討しています。


目次
前文
1章 天皇(1~8)
2章 戦争の放棄/安全保障(9~)
3章 国民の権利及び義務(10~40)
 14 平等権
 15 参政権
 16 請願権
 17 国家賠償請求権
 18 苦役等からの自由
 19 思想良心の自由  
 20 信教の自由
 21 表現の自由
 22 営業等の自由
 23 学問の自由
 24 家族
 25 生存権
 26 教育権
 27 勤労権
 28 労働基本権
 29 財産権
4章 国会(41~64)
5章 内閣(65~75)
6章 司法(76~82)
7章 財政(83~91)
8章 地方自治(92~)
9章~緊急事態、改正、最高法規
上諭・名簿


 このサイトはリンクフリーです。自民党憲法改正草案についての理解を深めるのが目的なので、是非ご意見とともにいろいろなところでご紹介下さい。
 私の説明と同じ内容を、自らの研究として(ときに誤読して、ときに有料で)発信している方が見受けられます。発信すること自体はありがたいですが、このサイトを参照した旨明記していただければ幸いです。


 掲示板を設けました。感想、補足、反論、誤りの指摘などご自由に書き込んでいただければ幸いです。なお、ここでの分析結果に対する個人的意見は、twitter(@satlaws)で書いています。憲法学者を含む多くの大学教員、ジャーナリスト、弁護士等の方々にご紹介頂いており、その一部はお気に入りツイートでご覧いただけます。
 私は弁護士であり、いろいろな仕事をしておりますので念のため実名は伏せていますが、お気軽にご連絡ください。
 fbページも作りました(2014.11.17追記)。私見を書いていますが是非ご覧ください。


※1 規制内容に興味のある方は国民投票法103条等をご覧ください。表明可能な範囲が明確でない規定ですが全面禁止ではありません。
※2 例えば「条文上表現規制されやすくなる憲法改正案である」のをどう思うかは自由ですが「条文上表現規制されやすくなる憲法改正案である」のは事実です。私は価値観としてまずいと思いますが、サイトでは「条文上表現規制されやすくなる憲法改正案である」としか書かないことにしています。淡々と法的分析をすることと、分析結果について個人的意見を抱くことは別であるのをご理解いただければ幸いです。また,草案の良さのアピールは Q&Aで十分なされており,Q&Aの無断転載は増補版においてお明確に禁じられたため,それを当サイトで重ねて述べることはしておりません。Q&Aと併せてご覧いただければ幸いです。


  総論  ~40条  41条~91条   92条~
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